この記事でわかること
- 日本の公的保険でカバーされる範囲
- 高額療養費制度を知れば医療保険は不要かも
- 死亡保険の必要額の計算式
- 削っていい保険・絶対残すべき保険
- 見直しで年間いくら浮くかシミュレーション
はじめに:日本人は保険に入りすぎている
生命保険文化センターの調査によると、日本の生命保険加入率は約8割。1世帯あたりの年間保険料は約37万円(月約3万円)というデータがあります。
しかし「なんとなく入っている」「勧められたから入った」という保険が多く、実際の必要保障と乖離しているケースが非常に多いです。
この記事では、30代共働き世帯が保険を正しく見直すための判断基準を解説します。
第1章:公的保険が意外と手厚い
保険の見直しに必要なのは、まず「公的保険で何がカバーされるか」を知ることです。
健康保険(医療費)
日本の健康保険は医療費の自己負担を3割に抑えます。さらに高額療養費制度により、1ヶ月の自己負担に上限があります。
高額療養費制度の自己負担上限(70歳未満)
| 年収目安 | 月の上限額(目安) |
|---|---|
| 〜370万円 | 約57,600円 |
| 370〜770万円 | 約80,100円+α |
| 770〜1,160万円 | 約167,400円+α |
どんなに大きな手術をしても、月8〜17万円程度が上限です。
傷病手当金(就業不能時の収入保障)
病気やケガで働けなくなった場合、健康保険から「傷病手当金」が最長1年6ヶ月支給されます。支給額は標準報酬月額の2/3程度。月収30万円なら月20万円が受け取れます。
これを知っていると、「就業不能保険」「収入保障保険」の必要性をより正確に判断できます。
第2章:削っていい保険・残すべき保険
削ることを検討できる保険
医療保険
貯蓄が100万円以上ある場合、高額療養費制度との組み合わせで民間医療保険は不要なケースも。月8万円の自己負担上限に備えて、医療費用の貯蓄を積むという考え方もあります。
貯蓄型保険(養老保険・終身保険の貯蓄部分)
利率が低く、解約すると元本割れするリスクがあります。貯蓄はNISAで、保障は掛け捨て保険で分けた方が効率的なケースが多いです。
学資保険
返戻率が100〜110%程度の商品が多く、NISAの期待リターン(年4〜6%)に大きく劣ります。教育資金はジュニアNISAや特定口座での運用の方が長期では有利なことが多い。
残すべき保険
死亡保険(特に子育て世帯)
収入の主な担い手が亡くなった場合のリスクは、公的保険ではカバーできません。遺族年金があるものの、子育て期間中は追加の死亡保障が必要です。
就業不能保険(傷病手当金がない自営業・フリーランス)
会社員には傷病手当金がありますが、自営業・フリーランスにはありません。長期就業不能リスクへの備えとして有効です。
火災保険・地震保険
住宅は最大の資産。火災や地震による損害はリカバリーが難しいため、必須の保険です。
第3章:死亡保険の必要額の計算式
必要な死亡保障額 = 遺族の生活費総額 − 公的給付(遺族年金等) − 配偶者の収入 − 現在の貯蓄
計算例(子ども1人・35歳の主な稼ぎ手が死亡した場合)
- 遺族の生活費:月20万円×25年(子どもが独立するまで)=6,000万円
- 遺族年金(概算):月10万円×25年=3,000万円
- 配偶者の収入:月20万円×25年=6,000万円
- 現在の貯蓄:500万円
必要保障額 = 6,000万円−3,000万円−6,000万円−500万円 = マイナス3,500万円
この例では、配偶者の収入がしっかりある共働き世帯なら死亡保険が不要という計算になります。共働きの場合、片方が亡くなっても遺族年金+もう一方の収入で十分カバーできるケースも多いです。
第4章:見直しシミュレーション
| 見直し内容 | 削減前 | 削減後 | 月間削減額 |
|---|---|---|---|
| 医療保険(両名分)解約 | 20,000円 | 0円 | 20,000円 |
| 死亡保険の特約削除 | 15,000円 | 8,000円 | 7,000円 |
| 学資保険→NISA切替 | 20,000円 | 0円 | 20,000円 |
| 合計 | 55,000円 | 8,000円 | 47,000円 |
月47,000円削減で年間564,000円。この浮いたお金をNISAに積み立てると、30年後に大きな資産差になります。
まとめ
- 高額療養費制度を知れば医療保険の見直しができる
- 共働き世帯は死亡保険が不要なケースも
- 貯蓄型保険はNISAより非効率なことが多い
- 火災・地震保険と就業不能保険は必須
- 保険料の見直しで年間数十万円の節約も可能
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この記事はししまるの金融教室が執筆しました。投資はご自身の判断と責任のもと行ってください。特定の金融商品・サービスへの投資を勧めるものではありません。